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2022.11.17

読みもの

本を売るだけが古本屋じゃない ~社会貢献、古本活用の新しいカタチ~

こちらは古本屋のノースブックセターが古本を売るサイトです。古本屋なんだから、古本を売って当たり前です。そして、本を売ってくださったお客さまには当然、その買取代金が支払われます。

・・・当然?実は、そうでもないのです。当店では、お客さまがご希望された場合に、その買取代金を子どものために活動する団体へ寄付する取組を2006年から行っています。

2022年8月には上記に加えて障がい者の就労の場を支援する活動も始め、「テトテ」という新事業としてリニューアルスタートしました。

その他、「テトテ」では在庫過剰などの理由により当店では再販が難しい本を社会貢献に活用する取組なども行っています。

今回は、そういった当店の取組の一部をご紹介したく記事を作成しました。

買取金の寄付先であり、絵本の寄贈先でもある、「フードバンク八王子」の代表理事 國本康浩さんと、同理事 川久保美紀子さんにお話を伺いました。

絵本は子ども食堂などで配布しています

――先日、当店より絵本を贈らせていただきましたが、どのように活用されるご予定でしょうか?

川久保:12月に子ども食堂で子どもたちに配布するクリスマスプレゼントの中に入れたいと考えています。また、3月に再度「はちおうじっ子のコロナに負けるな!応援プロジェクト*」を行う計画があり、そこでも活用させていただく予定です。

*2021年度末に行われた同プロジェクトの活動報告書はこちら

子どもたちにとって、読書の経験というのはすごく大事だと思うんです。生きていく上で、まず必要になるのが読解力ですよね。小さいうちから読書経験を通じて、それを養うことは大きな力になります。また、本を読むことによって行間の意味を汲み取るとか、想像力を駆使するとかいった力もつきます。それはゲームなどからでは得られない、本ならではの良さかと思います。

國本:それに、絵本というのは、そこにあれば知らない大人も自然に子どもと会話を始められるツールになるんですよね。そういった意味でもありがたいものですね。

川久保:子どもたち、そして、その親御さんたちにも絵本はとても喜ばれているんですよ。

―― 喜んでいただけているようで、こちらとしても嬉しいです。子ども食堂へのコロナ禍の影響はいかがですか?

川久保:現在、30ヶ所登録のある子ども食堂のうち18ヶ所が稼働しているのですが、コロナの影響で食事の提供をお休みしていた間に来ていてくれた人たちが離れてしまい、コロナ前の状況に戻っていないという食堂さんがいくつかあります。利用する人が離れるという面もありますが、ボランティアで食堂を運営してくれていた人たちも離れてしまうケースもありますし、コロナ以降の3年のブランクというのはやはり影響があります。

子ども食堂ではみんなでワイワイ、いろんな人と集まって食事ができるというのが楽しかったんですが、今は黙食が基本ですよね。コロナ禍中にあっても食事提供を再開できた食堂さんも「せっかく復活したのに、かつての子ども食堂とは違う」と嘆いています。

ただ、私たちが活動の中で大事にしていることの1つが子どもたちの居場所をつくるということなんです。今はこういう状態で続けざるを得なくても、ただでさえコロナで更に居場所が無い子どもたちのために、開所していること自体に意味があると考えています。

 

子ども食堂の誤解をときたい!

―― 子ども食堂というと、「経済的に困窮している人たちのための場所」「子どもしか行けない場所」というイメージがありますが、いかがでしょうか?

國本:私はマスコミが子ども食堂について最初に取り上げたときに広めてしまった誤解が2つあると思っています。その2つというのが、まさにご質問のそれです。

第一に、子ども食堂は大人も利用できます。是非、みなさん利用してください。そして、そこにいる子どもたちに声をかけるなどしてみてください。

第二に、子ども食堂は経済的に困窮している人たちだけのための場所ではありません。もちろん、利用している方たちの中にはそういった人たちもいるかも知れませんが、それが利用条件ではありません。

フードバンク事業では困窮者に対しての食料配布を行っていますが、そこを利用する人々の貧困というのは経済的な貧困のみではないんです。もちろん、それもあるのですが、社会的な孤立という社会的貧困という側面も強いんですよね。

フードバンクを利用する人たちは、すでに非常に追い詰められた状況でやって来ます。私たちのところが最後のセーフティネットなんです。ですが、そこまで追い詰められる手前で気軽に利用できるところがあるべきではないかと。その1つが子ども食堂だと我々は位置づけています。

―― なるほど。その子ども食堂ですが、先ほどもお話があったようにコロナもあって厳しい状況なのではないかと思うのですが、担い手を確保するのも大変なのではないでしょうか?

川久保:ありがたいことに、先日も子ども食堂を開設するためのセミナーにたくさんの方にご参加いただきましたし、新規立ち上げ希望の方は多いですよ。実際、新しく開所する子ども食堂さんもあります。八王子は広いので、子ども食堂を身近なところで利用できるようにするには、今の倍近くの設置数が理想ではあるのですけれどね。「八王子市内の小学校区に一つの子ども食堂を!」というのが、私たちの年来の野望です!

運営している方たちの様子についてですが、みんな、「楽しい!」って言って活動されています。やはり、目の前で子どもたちが「美味しい」「楽しい」って言ってくれるのが「嬉しい」と。

國本:私たちも、「誰に頼まれたわけでもないのにやってる」ってよく言うんです。誰に頼まれたわけでもなく自主的にやりたいからやっているんです。

 

いろいろやっていますが、根っこはつながっています。

―― 今、お邪魔している事務所では障がい者の就労移行支援もされていますよね?

國本:そうですね。我々の根幹事業であるフードバンク(困窮者への食料支援)を運営する中で、その利用者のうち2割くらいは何らかの病気や障がいを抱えているのではないか?と、そんな思いを抱くようになりました。彼らに必要なのは食料の支援だけではないのではないか?という思いから、発達障害、うつ病などで社会に出てつまずきを感じた、生きづらさを抱える人たちの一般就労に向けての支援を始めました。

川久保:ここの方たちは知的には標準的な能力を持っている方が多いです。むしろ、自分たちでチームを組んで、リーダーを決めてと自主的に働ける力を持っています。でも、彼らと関わってみて感じるのは、圧倒的な経験の少なさです。これは、人生における経験の話です。例えば、お鍋をみんなでつつく、花見をするなどといったことも「テレビの中でしかやらないことだと思っていた」「初めて自分も参加した」といった具合で、体験・経験の貧困がすごく大きい。

よく「貧困の連鎖」という言葉を耳にしますが、そういった人たちが子ども時代から見てきた大人というのが自分の親だけなんですよね。いろいろな価値観を持った、いろんな人との交流をする機会がないから、そういう生き方しか知らない。

國本:いわゆる、ロールモデルというのが形成されないんですよね。私たちの事務所には非常にいろんな人の出入りがあるので、その分、いろんな人達との交流を持ちやすい。また、ここで友達を作って新しいことを知る、世界を広げるということもできます。

川久保:子ども食堂についても同じことが言えます。昔の子どもはいろんな大人たちに囲まれて暮らしていましたが、今は交流の幅が狭いです。子ども食堂の中で多様な人々に触れてほしいですね。

また、子どもたちにもいろんなことを知って世界を広げて欲しいという思いから、各子ども食堂さんでも「食」にプラスアルファの何かしらの活動を取り入れていただくようにお願いしています。

 

「つながり」をキーワードに

國本:私たちの事業、フードバンク、子ども食堂支援(八王子食堂ネットワーク)、就労移行支援事業(フードバンク八王子ワークス)、その他、不登校児支援のためのネットワーク運営(プラス・パス)などなどは、一見するとそれぞれの事業がバラバラのように見えるかも知れませんが、私たちの中では通底する理念があります。

川久保:フードバンクの事業や子ども食堂の話の中で「孤立」「社会的貧困」という言葉が出てきましたが、私たちの事業では1つ「つながり」というキーワードをもって取り組んでいます。子ども食堂の例で言えば、それは利用する子どもたち間で完結することではなく、提供する側も巻き込んだ「つながり」です。

國本:私たちの活動はつまるところ、暮らしの中で孤立しがちな人たちが利用できる小さな「つながり」をいろいろな面から社会の中に仕組みとして組み込んでいくという活動なのかも知れません。

 

仲間になってほしいです

―― 最後に、当店へのご要望をお聞かせください。

國本:今、思うことは「子ども食堂のお客さんになってみてほしい」ということでしょうか。実際にそこで食事をしてみて、良かったら「絵本を寄付している古本屋さんですよ」と話しかけてみてください(笑)。その子ども食堂での体験をシェアできたら良いですね。それは我々の想いを共有する仲間を増やしたいということでもありますね。

いかがでしたでしょうか?

ご購入されている古本がどういう想いで我々の手にわたり、その支援を受けた方々がどういう想いで、どういう活動をされているのか少しでも伝わりましたでしょうか?

そして、お手元にある古本に1つ別の味わいを添えることができたのなら嬉しいです。