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ヘンリー・ダーガーと非現実の王国で
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アウトサイダー・アートの代表的な作家として高い評価をうける孤高の芸術家、ヘンリー・ダーガーの2009年に刊行された画集。
掃除夫として働き、誰に見せることもなく半世紀以上もの間、たった一人で描き続けたその膨大な作品群は、ダーガーの死後、彼の暮らすワンルームのアパートで1万5145ページのファンタジー小説の原稿『非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、子供奴隷の反乱に起因するグランデコ・アンジェリニアン戦争の嵐の物語』と、その小説のドローイング、水彩による挿絵が発見されたことではじめて有名になります。
幼い子どもたちが拷問や殺害される恐ろしい大虐殺シーンかとおもえば、エドワード時代のイギリスの室内風景や児童小説や幻想絵画のような花の咲き乱れる穏やかで牧歌的な世界という真逆の世界が同居するダーガーの作品は、驚くべき美しさと奇妙さを備えた、精巧なファンタジーの世界を実現しています。
数あるダーガーの画集の中で、最もボリュームがあり、原画のカラーが忠実に再現されている本書。
大型で見開きの仕様もあり、細かく描きこまれた箇所までじっくりと堪能することができます。
初期のコラージュや自伝である『私の歴史』も収録されており、資料価値の高い、ファンであれば必ず手元に置いておきたい一冊。おすすめです。
アウトサイダー・アート関連作品
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2009年 Prestel/Klaua Biesenbach
English/ハードカバー/320ページ
▲ 全体的に若干使用感・スレキズ・薄ヤケ・薄汚れ少々