挿絵・絵本画家のケイト・グリーナウェイ(1846-1901)は、19世紀後半のイギリスにおいて、絵本の黄金期を導いた1人として知られています。
産業革命によって社会の合理性が重視されるようになった時代、中世を懐古する思いの拠り所となったのがグリーナウェイの作品たち。主に子どもたちを中心に、彼らに付き添う母親や乳母が登場するなど、ゆったりとした時間の中で自然と遊ぶ姿が大衆の心を惹き付けたのです。
グリーナウェイ作品の魅力の1つは、何といっても登場人物のコスチューム。彼女は実際の子どもに自らがデザインした服を着せ、デッサンするという手法を用いました。当時と比べてシンプルで着やすいスタイル、お洒落なマントやボンネットを着こなす子どものイラストは、"実用的なスタイル・ブック"として評判に。世の母親たちはこぞって手芸店に駆け込んだそう。
本図録には彼女の制作した水彩やデッサン、グリーティングカードを収録。初版2万部を売り上げたとされるデビュー作の絵本『窓の下で』のデザインや、マザーグースのアルファベットうた『A APPLE PIE』のイラストなど、和やかな雰囲気満載の一冊になっています。
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▲1993年 広島・ふくやま美術館ほか
▲ 全体的に若干使用感・スレキズ・薄ヤケ・薄汚れ少々