20世紀を代表する画家パウル・クレー。
日本は世界でも類を見ないほど、クレーの個展が多く開催されている国だといわれています。
その人気の秘密はなにかというと、彼の謎めいた作風にあるようです。
近年の研究によってクレー作品の中にはいくつかの作品を組み合わせるとパズルのように繋がったり、下塗りの層や裏側に別のイメージを意図的に「埋蔵」するなど、密かな”暗号”が仕掛けられたものがあると明らかになっています。
本書は2015年に宇都宮美術館、兵庫県立美術館にて「秘密」をキーワードに6つのテーマで構成された展覧会の図録。
クレー自身が「特別クラス」とランク付けた作品40点や、「秘密」の世界に通じた存在としての子ども、奇妙な動物や天使を描いた作品など、クレーの故郷であるスイス・ベルンのパウル・クレー・センターと遺族のコレクションの全面的な協力のもと、日本初公開の31点を含む94点がベルンから来日し、国内作品とあわせた110点あまりを収録しています。
見やすい作品図版のほか、詳しい解説、クレー作品に捧げられた詩、寄稿文、年譜など充実の内容。
(本展のドイツ語サブタイトル「Spuren des Lachelns(ほほえみのあしあと)」は谷川俊太郎が捧げた詩『彼女は吠え、僕たちは遊ぶ』からとっているそうです)
クレーが投げかけた“謎”に迫る一冊。
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▲ 2015年 宇都宮美術館 ほか
▼ 地:斑点状のシミ
▼ 紙面:数頁の角に小破れ・折れ